番組の途中ですが、臨時ニュースをお届けいたします。
部活終わりの夕方頃、横浜市内の某タワーマンション上階、三井寿さん(18)の部屋内で、二つ年下である男子高校生に押し倒される事件がありました。
押し倒した側の後輩は、下半身に凶器のようなイチモツをぶらさげていたとのことです。
未成熟な尻の穴に対し強引に突破を図った理由に対し、後輩は「いけるとおもった」などと神妙な顔で供述しているということです。当局では、事件と事故両方の側面で捜査を続けて参ります。
CGで作られたスタジオの中、女性キャスターが真面目そうにニュース原稿を読み上げるシーンが、三井の脳内を巡り巡っていた。
――先週の話である。
同じ時刻、同じシチュエーション。
現在進行形で、三井は同じ後輩に押し倒されていた。肩をぐっと押す後輩――流川楓――の手のひらが少しだけ汗ばんでいるのが、白いシャツ越しに伝わる。あ、こいつも緊張してるんだ。先週みたいに、失敗したらどうしようとか考えてんのかな。
少し伏せられた目元の睫毛がふる、と震えるのをぼんやり眺めながら、そんな流川の緊張と反比例するように、三井の心は落ち着き払っていた。
男に二言はない。……もとい、男に二度の失敗は無い。
この一週間、三井は汗と涙が滲むような努力を積み重ねてきた。それはもう、この文字数では語りきれないほどの苦難と苦難を乗り越えてきたといっても過言ではない。
そこまで奮闘に奮闘を重ねた理由は、一つしか無い。そう……可愛い可愛い後輩であり、できたてホヤホヤの彼氏でもある流川楓のためである。
先週は準備が圧倒的に足りていなかった。
合宿や部室で何度か通常モードの流川の下半身は確認済みだった。
デカいな、とは思っていた。ズル剥けかよ、とも思っていた。でも、デカいってことは膨張率はそこまででもねえか。そんな風に、慢心していたのだ。
戦闘モードに入った流川のソレは、三井が想定していた範疇を飛び抜けていた。
一瞬、抜き身の日本刀か……?と思った。もし流川の背後から西日が差し込んでいたら、自分の顔に巨大な縦長カリ高の影が出来ていたであろうと思えるほどに。でかすぎる、なんだこれ。もしかして流川の勃起したチンポで日時計できるんじゃねえか?
今、冷静になって考えれば、公園にそんな卑猥なモニュメントがあってたまるかと思えるのだが、あの時はそんな余裕など持てるはずもなく。
一瞬現実逃避してしまうほどに、強大にそそり立つイチモツ。その前に、三井は敢えなく敗北を認めざるを得なかった。「……痛かったす、よね」と、そっと自分の尻にむかって慮られた申し訳なさそうな声色を二度と聞かないため、この一週間、三井は自身の尻の開発にいそしんできたのだ。
――ネクストヒサシズヒント:『極太ディルド』
そしてオレは名探偵・三井寿。
もう二度と、流川のイチモツを事件にはさせない。じっちゃんの名にかけて。
三井の脳裏に、生前笑顔を絶やさなかった白髪の祖父(元・三井グループ会長)が浮かんだ。じいちゃん、天国から見ていてくれ。いや……やっぱり見なくて良い。孫が尻を開発していて年下の男にまさに抱かれようとしている所なんて、絶対見なくて良いから。
そう、三井はやれるだけのことはやったのだ。あとは、結果が伴うだけ。全国大会に出場した学校の主将の意気込みコメントの如く、三井の覚悟は決まっていた。
自分の肩に置かれている、流川の手をそっと撫でた。手の甲をなぞり、手首をやわく握る。甘えるように頬を擦り付けると、流川の喉仏がゴクンと上下した。
「セン、パイ……」
「先週はごめんな、流川」
「なんでセンパイが謝るの。オレが……」
「いや、オレが悪いんだ。お前のチンポのポテンシャルを見誤ってた」
「ポテンシャル……」
「生まれてから十八年。オレのケツは出口であって入口じゃねえと思ってた。でもお前のためなら、入口にもできる」
「入り口……」
さっきから流川が頭の悪いオウムみたいな返ししか出来なくなっている。もう少し、三井の覚悟を分かりやすくバスケ寄りに説明した方が良いかもしれない。三井は思考回路を必死に巡らせた。
「お前は、ジョーダンに憧れてAJ5を履いてるだろ?」
「……?、ウス」
まさに今からセックスです!という前の会話とは思えず、さすがの流川も首を傾げながら頷く。
「今でこそアシックスを履いてるけどよ、オレも中学の頃はナイキ履いてたんだ。ジョーダンじゃなくて、エアマエストロだったけどな」
もう履きつぶしてしまった、懐かしいバッシュを思い出す。白地に効果的な黒の差し色がクールで、あの頃はあればかり履いていた。
「エアマエストロ2……ジョーダンと同じブルズにいたスコッティー・ピッペンのモデルのやつ。ジョーダンは勿論すげえ。でもオレは、ピッペンみたいなオールラウンダーなプレイスタイルを目指してた。しかもピッペンは、ジョーダンの相棒とも言える選手だったんだぜ」
「確かに、まあ……そうっすね」
「そんな男のバッシュを履いてたんだオレは。それならオレの尻だって、相棒のためにオールラウンダーであるべきだろ?出口だけじゃなくて入口でもあるべきだ。そう思わねえか?」
「……確かに、そう……かも?」
「だろ?」
どうやら通じたらしい。三井はほっと胸をなで下ろした。押し倒されたまま、流川の首筋に手を掛けぐいっと上半身を起こす。小さなキスを唇の端についばむように落とした。
「もう、お前が心配するようなこと、一切ねえから……」
「ッス……でも、オレもこの一週間いろいろ、考えてきた」
「……何を?……ん、ぅ」
ついばんだキスのお返しとばかりに、見た目より大きな口で唇を塞がれる。ぼそぼそと喋るイメージが強い流川が、食事の時だけはぐわっと大きく口を開くのを見るのが好きだ。その口が、自分の唇も食べ尽くしてしまうんじゃないかと思うほど、かぶりつくようなキスをされるのも好きだ。
舌先で歯列をなぞられたあと、唇が解放される。離れがたいかのように、唾液の糸がつうっと二人の間を伝ってぷつん、とちぎれた。
「オレも、いろいろ考えた。センパイ、痛いんだろうなとか。オレがデカい……からなのか、とか。他の人と比べたこと無いからデカいとかはよくわかんねー。……けど、そのせいでセンパイが痛い思いするのは、イヤダって思った」
「流川……」
「だから、色々しらべた。チンコを小さくする方法とか無いか聞いたりした」
「え!?だ、誰に……」
「石井に」
石井……!三井は一瞬で、眼鏡越しでもわかる、人の良さそうな石井の笑顔を思い浮かべた。脳内で、こっそりと手を合わせて謝った。唐突にそんな悩み相談をもちかけられた石井と、どよめく1年10組の様子すら、見てきたかのように鮮明に想像することが出来た。
ごめんな石井、オレ達の関係を知っているばかりに……。もう一度、三井は脳内で石井に向かって合掌した。今度は、脳内の流川も添えてである。
三井と流川にじっと手を合わせて拝まれる石井は、人の良さと坊主姿が相まって菩薩のようにも見えてくる。御利益すらありそうである。
「それで石井は……何て……」
「円周率とか、唱えたらいいんじゃないかって言われた」
「円周率……」
苦肉の策で、絞り出した答えに違いない。嗚呼、石井菩薩さま、迷える流川にお導きをありがとうございます。
「何度もイメトレしてきた。……でも、ダメだった」
流川がしゅん、とした顔で目を伏せる。
「センパイの前だと、どう頑張ったってちっさくできねー。……ごめんなさい」
三井は喉奥からこぼれ落ちそうな嗚咽を必死に耐えた。ちょっぴり嘘をついた。正直なことを言うと、ングッ…と一瞬だけ出てしまったがそれ以降は耐えた。
オレの年下彼氏、あまりにも可愛すぎないだろうか。オレが痛がらないためにチンポを小さくしようとおもったけど、アンタの前じゃ興奮しちゃうから小さくできない、ってことだ。こんなに可愛くてエッチな殺し文句があっていいのか?三井は自問自答した。
無自覚というモノは、時に三井を半殺しにかかってくるのだと改めて思った。いや、それにしてもあまりにも可愛すぎる。
もし刑法に可愛すぎることが罪であるという条文があったならば、とっくの昔に自分の彼氏は逮捕されているに違いない。日本にそんな法律が無くて良かった。だがしかし、法的に逮捕されないにしても、190㌢間近の男子高校生が、こんなに可愛くて世界は大丈夫なんだろうか。
世界はいたって大丈夫だが、三井は大丈夫ではない。荒ぶる心拍数を深呼吸でなだめて、三井は流川の黒耀色の瞳をじっと見つめた。
「大丈夫だ、流川。お前のチンポがどれだけでっかくなろうと、今日のオレのコンディションは最高だ」
正確には、今日の尻のコンディションだが、野暮なのでそこは詳しく言わないでおいた。
「バスケだって、一回で連係プレーが上手くキマることなんてないよな。練習で失敗して反省点を見つけて次に生かすから、試合では成功するよな」
「ウス」
「バスケと同じだ。オレたちの『コレ』だってそうなんだよ、きっと。……だから、今日は絶対に、大丈夫だ」
「……ス」
「なあ、流川。……お前と、ひとつになりたい」
「オレも……っす」
流川の長い睫毛が二、三度とまばたきで揺れたあと、三井を再びじっと見つめる。先ほどの自信がなさそうな視線と違い、目つきだけで服の下を乱暴にまさぐられるような、下腹の奥に溜まっている熱を煽られる目だ。再び押し倒している三井に被さるよう、体重をかけてくる。愛おしい重みに、三井は小さく息をついた。
流川の指先が、汗ばんだ三井の鎖骨付近をつうっと撫でる。瞬間、皮膚にぶるりと震えが走った。かさついた、バスケットボール選手の硬い手に、やわく白い肌をまさぐられている。
「んっ……んぅ……は、あ……」
何度も角度を変えて口付けたまま、三井の吐息だけが時折漏れ出る。口付けはそのままに、微かに震える手で、自らの白い学生服のシャツのボタンをひとつひとつ外し終える。すると、待っていたかのように流川の両手が三井の腰をぐっと掴んだ。
服を何一つ隔てない、肌と肌の触れあい。腰骨を左右から揉み込まれる感触に、ぞくりと背筋がわなないて、思わず唇が離れた。
「ん、あっ……」
「センパイ……キス、いやすか」
「や、じゃねーよ……全然……ちょっと腰つかまれてビックリしちまった、だけ……」
「じゃ、舌……出して」
三井は言われたとおり、酸欠で朦朧としながら舌を突き出した。外気に触れた舌が少しだけ温度を下げて冷える。だがすぐさま、少し冷えた舌に、熱い体温と共に舌がざらりと触れてきた。
「んえっ、え……えぁ……っ」
まるで犬のように、流川が舌同士を執拗にすりあわせてくる。互いの唾液が舌の間でにゅるにゅると滑る。呑み込みきれない唾液が、三井の口角の端から滴り落ちていくのを感じた。
「る、かぁ……」
「……センパイ、かわいい」
きっと自分は口元をベチャベチャに濡らした状態で、変な顔をしているに違いないのに、そんな姿を『かわいい』だなんて。三井にすれば、そんなことを言ってくる流川こそ可愛い。
流川の手が自分の短い前髪を、根元からやさしく掬うように撫でられて、その心地よさに目を細めた。自分の髪を撫でていた手が、三井の目の前に、ゆっくりと差し出される。人差し指と、中指の二本。
「……なめて」
年下の男から命じられる言葉に、目が興奮に潤んだ。口の中がじゅわ、と唾液で溢れる。両手で流川の手首をやわく掴んで、そのまま長い指を咥内に招き入れた。体液をじゅるじゅると絡ませるようにして、舌を這わせていく。
「ンッ……ん……ぅ……」
節が目立つ、流川の白く長い指先。当の本人は「センパイの手の方が綺麗」だなんて言ってくるけれど、三井からすれば、流川の手の方が色気があって良いと思う。そんな手を、自らの唾液でふやかして蕩かしている事実は、三井の身体の温度を更に上げていく。
「指……ぬくから……」
「んっ……ふ……ぁ」
指が引き抜かれると、すぐさまその指先は、尻の狭間へと這わされた。グレーのボクサーパンツ越しに、窄まった縁を濡れた指でくにくにと弄られる。恐怖では無く、期待で太腿が震えた。
「あっ!あ……んっ……そこ……」
「センパイ、脱がしていーすか……」
必死にこくこくと頷くと、流川の手が下着のゴムにかかる。腰から背中を反らすように浮かせると、流川の手が器用に下着を脱がせてくれる。下着がベッドの下にぽんと放り投げられた。
三井の上で、膝立ちしたまま流川が制服のズボンのベルトを性急な動作で外している。下着とズボン越しでも前立てが既に大きく膨らんでいる様子を見て、三井は静かに生唾を呑み込んだ。
「もう、おっきぃ……」
「……今も円周率数えてるけど、全然小さくなんねー」
「ふ、ぁ、はは……」
堪えきれず、思わず笑いが溢れてしまう。本当に、オレの彼氏はなんて可愛いヤツなんだろう。早く、自分のなかで気持ちよくさせてあげたい。縁で一番太い部分を頬張って、ナカできゅうっと抱きしめてあげたい。
三井の心の中に、母性なのか慈愛なのか、ただ単なる欲望なのか。自分でも、判別がつかない感情で心が埋め尽くされる。一週間、自分で開発を重ねてやるべきことはやってきた後ろがヒク、と蠢いた。
「るかわ、も……いいから……うしろ……」
「っ、ス……」
先ほどまで、自分の咥内にあった指が、後ろのふっくらとした円縁をなぞり、そのまま真ん中にずず、と入り込んだ。まずは、一本目。長い指がずるずると、胎内を突き進んでいく異物感に、下腹が生理的にビクビクッと跳ねた。
「っ、は……うっ……んんっ……」
「センパイ、きつい……?」
「だいじょーぶっ、だから……二本目、いれて、いいッ」
流川の二本目の指が潜り込んでくる。体積が増えたことで、一層圧迫感は募る。でも、先週の苦しかっただけの感覚とは全然違う。
苦しさのなかに、一匙の甘い快楽が隠し味のように溶け込まれている。二本の指が三井の中を前後に動くたび、喉から泣き声に近い掠れた嬌声が漏れた。
「は、あっ……んぁ……るかぁ……そこ、腹側のとこ……」
「……っ、ココ……?」
「ん、もうすこし……浅く……ちょっとだけ、出っ張ってる、トコ……」
「出っ張ってる……ぁ、……ここ?」
流川の二本の指が、しこりをグリッと押しつぶした瞬間、ヒッとしゃっくりみたいな声が自分からこぼれおちた。
「ヒッ!あっ……ア!そこ、……ぅ、……アッ!」
「センパイ、ここきもちーんすか」
「アッ!あ、あぅ……あ、いいっ……あ、そこ……ンッ!」
二本の指が前立腺のしこりを挟んで、ぐりぐりとつぶしては指のはらで優しく撫でてくる。自分では行ききれなかった境界線を、この男は軽く越えてくる。耐えがたいほどの壮絶な快感に、大きく開いていた両足が、空中を蹴り飛ばす。
「んっ、アッ……も……ひっ……そこばっか、や、めっ」
「……きもちよくねーすか」
「きもちい!きもちーからッ!よすぎて、あたま……おかしくなるっ……」
この一週間。勿論、自分で指をいれてみたことは何回もある。けれども、その行為とは全く違う快感が、三井を翻弄していた。流川の硬く、節くれだった指で内側を擦られるたび、自分のすべてを暴かれてしまうような衝撃が走る。
早く、この中に欲しい。指よりももっと質量と重量のある流川のそれを、いれて欲しい。沸騰したような思考回路の中で、それだけを強く、強く思う。
「る、かぁ……も、いい……から……」
消え入るような三井の声に、流川がごくん、と生唾を呑み込む音が聞こえた。三井が折り曲げた両足を、限界まで左右に開く。
流川がその内腿を片手で押さえて、もう片方の手で下着に隠されていた自らの肉竿を取り出した。ぶるん、と硬く反り返るように天を向いている先端を、ぐっと三井の後穴に押しつけた。
「痛かったら、すぐに言ってほしい」
「……ん、わかった……から……」
流川がすうっと息を吸い込んだあと、ぐにゅっと熱い先端が窄まりに触れる感触に、ぶわっと鳥肌が立つ。
「ぁ、あ……ああっ……あ、ぅ……」
触れた先端が、ずるっと自らの胎内に潜り込んでくる。意味の無い母音をまき散らしながら、三井は喉元を晒しながら、天井を見上げた。びくんと全身が戦慄く。胎内にぐぐっと押し込まれる熱量と圧に、翻弄されてしまう。
もっと激しく突っ込みたいはずなのに、流川の動きは、三井を労るようにひどくゆっくりだった。ずず、ずず……と少しずつ奥へと進んでいく。流川の立派に張り出した鬼頭が三井の中を、自らの肉竿の形に押し広げていく。自分のナカが、流川のモノにされている――。その、言いようのない感情に、涙が溢れ出した。
「センパイ、やっぱ痛い……?」
「や、ちがっ……この涙は違うから……お前を受け入れられて、嬉しくて、つい……っ」
途端、流川の顔がくしゃりと歪む。お前の方が苦しいんじゃないか。そう問いかけようとする前に、両腰をぐっと掴まれたかと思うと、身体ごと流川にぶつけるようにぐんっと引き寄せられた。
「ッ、ア……!?え……ぁ…………う、そ……」
一気に根元まで胎内に押し込まれたと気づいたのは、三井の臀部に流川の腰骨がごりっと当たったからだった。
「ぁ……ヒッ…ぁ、……はい、っちまった……?」
「ん、ぜんぶ……はいった」
「あ、ぁ……うそ……あ……す、げ……」
こんなうすっぺらい腹の中に、流川のアレが、全部。
圧迫感はすごいけれど、痛みは無い。一週間の開発を経て柔らかくほぐれていた三井のそこは、流川の肉棒を胎内で舐めしゃぶっている。
「こ、このあたりまで……きてるかも……」
へそ辺りまで埋め込まれているような気がして下腹をさすると、故郷の村を焼いた仇を見るような形相で、下唇をかみしめている。何か悪いことでも言ってしまっただろうか。三井としては正直な気持ちを言っただけなのだが、腰を掴んでいる流川の手の握力が、ぐぐぐ……と強くなる。
「いて、腰っ……いてえって……るかわっ」
「オレは……がんばってる。ちゃんと、センパイ、はじめてだし、オレも……はじめてだからあんまはげしくしちゃいけねーって……必死に、がんばってる、のに……」
「お、おう……」
「……でも、センパイが煽ってくるから、もう仕方ねーってことで、いーんすよね」
「ん?……え、あ……ヒッ、ア!」
バツン!と肉と肉が弾ける音が立ったのと、流川の腰と三井の臀部がぶつかったのは同時だった。瞬間、目の前でパチパチと白い火花が散ったような気がした。
繋がってドロドロになっている箇所から快感がはじけて、全身がガクガクと上下に跳ねる。痙攣したように、下腹が震えた。こんなの、知らない。こんな快感、今まで体感したことない。
「ヒッ、アッ……アアッ……あ……ぁ……」
呆然とするような快楽を身体中に浴びて、意識が朦朧とする。こんなに気持ちいいことが、世の中にあっていいんだろうか。こんなの、頭が馬鹿になってしまう。
「……もうイっちゃった?」
流川が、三井の肉棒へと手を伸ばした。透明の先走りと、精液にまみれた肉棒は、締まりの悪くなった蛇口のようにトロトロと精子をだらしなく垂れ流している。恥ずかしいし、早く止めたい。そう思うのに、自分の下半身が言うことを聞いてくれない。
漏れっぱなしのまま、だらだらと三井の腹筋の筋をつたってシーツに流れ落ちていく
「ぁ、……あ……るかぁ、とまんねー……どうしよ、こわ、こわい……」
「……ダイジョーブ」
未だに硬く反り返ったままの流川の先端で、ねっちりと奥をこねられて、粘膜をやわらかくほぐされている感覚に、太腿が痙攣したように震えた。自分が自分じゃなくなってしまうようでこわい。でも、やめたくない。もっともっと、流川のことがほしい。
その気持ちに応えるように、三井の胎内は、流川の陰茎に浮いた血管の一本一本に、しゃぶりつくように蠢いた。まるで精液をねだっているような動きに、流川の腰がぶるり、とわななく。
「センパイ、オレ……も……」
「んっ、るかぁ……きて、もっと……ほし、い……」
ずるっと竿が引き抜かれたと思うと、奥までずぶっと一気に射し込まれる。流川の自重で潰れてしまいそうになる体勢は、辛いはずなのに何故か嬉しくて、このまま本当に潰されてもいい……なんて煮立った頭でぼんやりと考えてしまう。
ずるずると出し入れされて、粘膜がこすれ合う。どんどん熱を孕んでいって赤味を帯びる流川の白い肌と、身体からぽたり、と落ちてきた汗がたまらなく愛おしい。
「あっ、あ……るかあっ……あ、もっ……」
「オレ……も、もう……イッ……ッ」
最奥まで先端をぐぐっとこねるように押しつけられた瞬間、目の前が真っ白になるくらいの快感がこみ上げた。勢いよくびゅくびゅくと腹の上に自らの精液を撒き散らすたびに、流川を銜え込んでいる粘膜が、物欲しげに収縮する。その収縮と同時に、流川の先端からも熱いものが噴き出した。……あ、ゴム付けさせるの忘れてた。
そこで初めて気づいても、もう時すでに遅し。通常状態の三井ならギャアギャアと喚いているに違いないのだが、快感で蕩けきった思考回路では、ただ、その熱い濁流に翻弄されるだけだ。
一度の射精量が多いのか、中に出されているのがよく分かる。流川の肉竿がビク、ビクと痙攣するたびに、奥にビシャッと叩き付けられるのが堪らない。
「ぁ……いっぱい、でてる……」
下半身がむずがゆくて、思わず左右に腰をくねらせてしまう。出されたばかりの精液が、粘膜と擦れて、粘ついた音を立てる。まだ半分ほど硬くなったままのそれに、若いな、なんて感心してしまう。
「セ、ンパイ……」
掠れた声で呟いた流川が、どさりと崩れ落ちるように体重をかけてくる。汗だくになった身体から噴き出る体臭と、精液の香り。愛おしい、世界で一番可愛い年下彼氏の香り。75㌔の重みを受け止めて、三井はポンポンと背中をやさしくさすった。
「二回目、ちゃんとできたな」
「…………うん……」
寝落ちてしまいそうな流川の身体をごろんと横に優しく転がして、自分は流川の胸の辺りに頬を寄せた。
「な?言っただろ。バスケとおんなじだって。失敗しても、またやりなおせばいいんだって」
「……ス」
「だからさ、こうやってこれからもやっていこうな」
「…………」
最後はちゃんと聞き取ってくれたか分からない。三井はそんな夢の中の無防備な寝顔に小さく笑って、鼻先にこっそりと小さくキスを落とした。
終